第三章 飛び出せ青春 第4話~第5話 ロケ地 (向ヶ丘遊園駅) あらすじ



第4話 やるぞ見ていろカンニング



かの水谷豊が林雄三という生徒役でこの回のみ登場する。ちょっとした仕草など30数年経過した今も変わらない。
 学園では試験の結果を全員に公開することになる。職員会議で河野・元倉は反対するがほかの先生たちに押し切られる。
さて2-Bの生徒、林雄三(水谷豊)は自宅の自室で今日も飛行機などのプラモデルを作るのに夢中。そこへ母親が入ってくる。母は「今度、父が町の教育委員長候補にあがっているので、点数順位の公開される次のテストで5番以内にはいって」と林に言う。しかし林は「そんなこと俺には関係ない」と断る。母はヒステリックになり、また、同じく入室してきた姉にも「せめて50番以内には」と馬鹿にされる。(2人が出て行ったあと、いらだった林は飛行機の羽根をもぎとるのだが、その時のわなわなと震える表情が最近の水谷豊かとまったくかわらない。)
 桜井(松原麻里)と矢吹(相原ふさ子)は次のテストで誰が一・二番になるかを連勝複式で賭けをする。C組の光本の名前が出る(光本は実際にはドラマでは出演なし)
 林は自室でカンニングのための小道具を作る。そして、生物のテストでそれを使用する。たまたまその様子をクラス随一の秀才、中尾洋一(武岡)が目撃し、不振がる。そして、後日、そのテストで林が学年トップであったことを知り、林へのカンニング疑惑を持つ。中尾は河野に林のカンニングにつき報告し、調査するようお願いするが河野は「カンニングなどやりたいやつはやらせておけ」と突き放す。ただ一応、河野は裏山に林を呼び、カンニングん有無をただすが、林が否定すると河野もそれ以上は追及しなかった。
 数学のテストでは林は改造消しゴムを使用して、カンニングをするが中尾は林のしっぽをつかめなかった。結果は廊下に張り出されるが、1位は林、2位が中尾だった。中尾はあらためて河野に林へのなんらかの処置を要求するが河野は、拒否する。
 中尾は意を決し、何らの対応をしない河野へのあてつけもあり、柴田・山本に相談し、「われわれもカンニングをしよう」と誘う。まずはドンチャッチャ作戦。もし、柴田・山本がたとえば、1番の2の問題がわからなければ足で1回床をドンとけり、2回手で机をたたく。すると中尾がその問題の回答を見やすいように答案をずらす・・・というものだ。世界史でも日本史でもその作戦を実行する。
察知した高木に対し、中尾は「林がカンニングをしている。しかし、父が教育委員長候補なので先生たちは手が出せないのだ」と説明、高木もドンチャッチャ作戦に参加する。しかし、高木がど派手に音を出したのでこの作戦は中止のやむなきにいたった。高木の「こそこそするのは嫌いだ」ということばをヒントに中尾は次の作戦を思いつく。ポーの小説をヒントにこたえを堂々と黒板横に張り出すのだ。人間の「こんなところにあるはずがない」という心理を逆手にとったものだ。そして、元倉先生担当の国語のテストの際、黒板右横に古文の活用形の表を張り出すが、片桐・林誰も気がつかない。この作戦成功・・・と思ったがやはり元倉にみつかってしまった。
そして、職員室で4人は問い詰められ、河野へのあてつけであることを知る。河野は「自分が原因」と生徒を返し、その後、「次の英語のテストで一人でもカンニングするものがいたら自分は退職する」と元倉に告げる。林はそれをたまたま聞いていた。
 教室では高木が「あるものがカンニングをしている。しかし、父が教育委員長候補なので先生たちは手が出せないのだ。だから各自堂々とカンニングいよう」と皆に呼びかける。それに呼応して各自、いろいろなアイデアを捻出し、小道具を作る。森下真紀は太もものゴムにカンニングペーパをはさむというお色気作戦、中村はカンニングペーパにゴムひもを結ぶ、柴田は机の下にカンペをおき、天井の鏡でそれを反射させる、山本はベルトにカンペを貼りまくる・・・。準備は万端!
 そして、いよいよ河野の英語のテストがはじまる。しかし、河野は問題用紙とともに全員に「答え」も配り、「手のこんだカンニングなどせずとも、その答えを見ればいい」と一言言って、教室を出て行ってしまう。生徒たちは唖然とし、かえってカンニングしづらくなる。そのとき高木は「これは河野のわなだ。カンニングを継続しよう」とみなに指示するそのとき、林(水谷豊)が立ち上がり、自分のカンニングを告白した(このときの絶叫も今の水谷豊に名残がある)。そして、も、一人でもカンニングする生徒がいたら河野先生は退職してしまうことをみなに伝える。そこで、みなはカンニングをやめる。教室に戻ってきた河野に高木は「俺たちはカンニングをしなかった。信じるかい?」と河野に尋ねる。河野は当然だといわんばかりにうなづき、そして、BGMをバックに生徒はあるものは涙を流しながら「先生!先生!」と河野のまわりに集まる。
最後は、高木・林・中尾・柴田・山本・片桐が自主的に、カンニングをしたことへの反省ということで、サッカーボール、バレーボールをぶつけられる罰を受ける。
水谷豊の出演が印象にのこり、また、前述したBGMをバックに生徒はあるものは涙を流しながら「先生!先生!」と河野のまわりに集まるシーンがクライマックス。しかし私は河野の「職業に貴賎なし。テストの結果で人間の優劣など決められない」という冒頭の言葉に共感を覚える。いつもころからか、「勝ち組・負け組み」ということばが喧伝されている。日本は今後、アメリカなみの競争社会に突入、さらに貧富の差が大きくなっていく。「甘いことをいっていれば取り残される」のはわかるが、本当にそれでいいのだろうか。

※ロケ地情報

①日大明誠以外に、桜井・矢吹が賭けの相談をしているシーンや河野と元倉が会話しているシーンなど、どこかの学校をロケ地として使用しているが特定はできていない。
②グラウンド・・・場所不明
③裏山から南西方向に見える送水管。河野が林(水谷豊)に詰問するシーンでみえる。第20章ご参照

※マニアック情報

① 予めはずれている右黒板・・・


②2年B組の座席表(第4話)
谷岡 小西
中村 片桐 (めがね)
中尾 山本 柴田 森下 (平野文?)
桜井 矢吹

テスト毎に微妙に入れ替わっている。
③ 廊下に張り出された順位表

順位ジュンイ 氏名シメイ 2ネンクミ
1 ハヤシ裕三ユウゾウ
2 中尾ナカオ洋一ヨウイチ
3 鈴木スズキトモ次郎ジロウ A
4 池田イケダシン D
5 光本ミツモト賢二ケンジ C
6 石井イシイセイ A
7 生田イクタみどり B
8 黒川クロカワアツシ C
9 中野ナカノ庄次ショウジ A
10 竹田タケダ E
11 岡島オカジマ長一郎チョウイチロウ E
12 長谷川ハセガワ京子キョウコ C
13 石川イシカワウツク D
14 小林コバヤシ昭雄アキオ A
15 吉田ヨシダ哲也テツヤ A
16 大河オオカワタケヒデ E
17 矢部ヤベススム C
18 中島ナカジマ一郎イチロウ E
19 石橋イシバシ芳朗ヨシロウ D
20 山田ヤマダ利枝トシエ C
21 永井ナガイくみ C
22 安藤アンドウあけみ
23   E
24 山田ヤマダ洋一ヨウイチ D
25 奥島オクシマイチ D
26 大石オオイシちか C
27   A
28 吉川ヨシカワ E



第5話 ああ雀パイに花受けて



太陽学園サッカー部も春休みにはいり、練習も数日休みとなる。河野は寮生はとりわけ実家に帰るものと思っていたが、実際は違う。寮母の梅さんによると色々な家庭の事情で全国から寄付金と一緒に太陽学園に“押し込まれた”という。その寮では実家に帰ることのない寮生たちが「自主講座」なるものを企画し、河野に職員会議での許可取得を依頼する。
城南大学の山崎助教授などを迎え、統計学、地方文化研究、倫理学、心理学、古典研究、初級中国語などを学ぶ・・・というものである。
 職員会議でこの件が検討されるが江川教頭は以外にも許可する。これは、何か問題があれば河野に責任を負わせるためであった。許可を受けて、寮生は皆、歓喜するが小西(関田)のみは片桐に不参加を申し出る。彼の母から会うという連絡がはいったのである。しかし、片桐たちはせっかく寮生で盛り上げようとしているのに・・・と却下する。
さて、寮にいるとなると、食事のことをかんがえなければならない。河野や寮生は寮母のうめさんにお願いするがウメさんは「娘に会いに行く」ということで、それを断った。そこで寮生たちは仕方なく、自分たちで食事を作ることとなる。出かけるウメさんに皆「クソババ」と罵声を浴びせるが、ウメさんは一向に気にしない様子だ。
 さて、寮の森下の部屋には実家からお手伝いのおたま=すやまたまこ=が訪れており、真紀に実家に一緒に帰るよう説得しているが真紀は断る。実は真紀の実母は実父の浮気が原因で自殺したと彼女は考えており、実家にいるのはその浮気相手の女であり、そんなところへは帰らない・・・というのだ。たまは自殺なんかではなく偶然の事故だったというのだが真紀は聞く耳をもたない。逆にたまに「講座の講師」を要請する。その気になったおたまは階段で河野とぶつかるが、その際、真紀から「新宿女子短大からきた」と河野に紹介する。
 いよいよ「春季講座」が開幕。まず、まっ黄色の車でオカマのような木崎がのりつける。 (お店をしているとのこと)講師の一人である。
また、エスケープラーメンの親父名和半次郎(名古屋)も講師として呼ばれていた。たまたま洗面所に居合わせた河野に名和は「詩吟、浪曲、占い、そろばんができる」と自慢する。
 集会室では開会式が行われ、すやま、木崎、名和の3人の講師が紹介される。河野も挨拶をするが「あくまで信じている」というものだった。しかし、実態は違っていた・・・・。 1講座目はなんとすやまによる安木節。全員で練習しているところに塚本(柳生)がくるが、廊下で警戒していた小西の手旗信号で、皆あわてて席にもどり、なにもなかったかのようにふるまう。塚本は不審がる。講義は木崎の現象学入門、名和の華道入門(実態は花札)心理学入門(実態はサイコロ)と続く。
 そんな中、寮母のウメさんが寮に戻ってくる。娘に「親は子が育つためのこやし。子供が育てば親は不要」といわれ、追い出されるような感じでかえってきたのだ。しかし、寮生は食事つくりを断られたいきさつもあり、自業自得と冷ややかであった。その夜、酒を飲んで梅子は暴れる。介抱する河野に梅子は「娘は体が弱く、指圧まで習ったのに・・」と泣き叫びながらもやがて眠りにつく。
さて、柴田・山本は寮で自主講座が開催されているのを知り、自分たちも参加させてもらおうと、集会室に入ろうとするが、拒否される。一人3000円の受講料が払えないということが理由だ。柴田・山本は河野になきつく。それを聞いて河野は集会室に出向くと、なんと、教室内では紙幣がとびかっていた。「美術工芸鑑賞」のテーマのもと、木崎がアクセサリーを生徒に販売していたのである。  河野は怒りだし、名和・木崎の2人の講師を追い出す。  
向ヶ丘遊園駅南口(柴田・山本が名和を目撃するあたり)
向ヶ丘遊園駅南口(柴田・山本が名和を目撃するあたり)

さて、夜、河野が就寝中、突如、中村たちが入ってきた。聞けば小西の様子がおかしいという。片桐によれば、小西の父は以前、浮気して家を出て行った。さらに銀座で商売をしている母親から手紙があり、「男が出来た」ということ、つまり小西は父母から見捨てられ、うつ状態に」なったのだ。 河野が対応に苦慮しているとウメさんがはいってきて、マッサージをしたり、子守唄をうたった。そして小西は落ち着いた。「あなたのお母さんは私よ」。
 翌日の講座は河野のマージャン教室。最初は反対していた元倉も、小西がウメさんをおぶって階段をあがってくる場面に出くわしたり、(小西はお母さんがわりに負んぶさせてくれとウメさんに懇願したのだ)ウメさんが寮生の食べ物の嗜好(小西はこんにゃく、森下はウメが好物、片桐はジャガイモが嫌い)を熟知しているのを知ったり、また、ウメさんが「この子達もいまに父になり母になる。そんなとき、これがおふくろの味」というのを知らないのはかわいそう」ということばを聴き、自分も意を決して、マージャンい参加する。しかし、その場面を塚本は証拠写真として撮影していた。
 それをネタに江川は責任を取るよう、河野につめよる。そのとき、歓声があがった。ウメさんの誕生会が開かれたのだ。河野・元倉・江川・塚本はそこにかけつけると、ウメさんのよろこんでいる姿があった・・・第5話はここで終了。
 感動的だったのは最後の誕生会のシーン。生徒たちの様子を見て,江川が証拠写真を破り捨てたシーン。江川も本当はいいやつなんだ。

※ロケ地情報

①向ヶ丘遊園駅南・・・
柴田・山本が講義に向かう、名和と出会う場面。今はない、つりぼりの看板が見えるが、一瞬見える洋品店は健在。
②グラウンド・・・場所不明

向ヶ丘遊園駅周辺図 向ヶ丘遊園駅周辺(昭和49年前後)「国土画像情報(カラー空中写真) 国土交通省」より
向ヶ丘遊園駅周辺図 向ヶ丘遊園駅周辺(昭和49年前後)「国土画像情報(カラー空中写真) 国土交通省」より


向ヶ丘遊園駅南口左手 同左(この方向に釣堀があったと思われる)
向ヶ丘遊園駅南口左手 同左(この方向に釣堀があったと思われる)
向ヶ丘遊園駅南口右手。ウルトラセブンのメトロン星人の回で、ダンとアンヌがだべっていた喫茶店があったビル(建て替えしたか)
向ヶ丘遊園駅南口右手。ウルトラセブンのメトロン星人の回で、ダンとアンヌがだべっていた喫茶店があったビル(建て替えしたか)




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