第十章 飛び出せ青春 第35話~第40話 ロケ地 ( 城山湖? 他) あらすじ
第35話 私はダメは女
元倉は大学の恩師から、教師をやめて、大学の研究室にくることを薦められる。そして、学校の応接室で恩師の説得を受ける。そのとき、畑野文子がただならぬ様子で、接客中の元倉を呼び出す。畑野の父(下川辰平)がフクスケという飲み屋のホステスのお静さんと再婚をすると言い出し、文子が「いかがわしい女」だと、大反対。そのことを元倉に相談にきたのだった。元倉は来客中のため、あるいは、それほど深刻に考えず、とおりいっぺんとうの答えで畑野を帰す。
しかし、この対応が多感な畑野に深刻な影響を与えてしまった。
まず、サッカー部をやめると言い出した。また、自宅で夕食を準備して父を待っていたが、父は、飲み屋にでかけて帰ってこない。文子はちゃぶ台をひっくり返す。
登校時、柴田・山本が文子に声をかけても、なにかボーっとして、いつものような明るい返事は無い。そして、ついに文子はスーパーで万引きをしてしまったのだ。そして元倉がスーパーの事務室に出向き文子を引きとった。文子は頑として万引きを否定する。やったこともよく覚えていないほどの精神状態だった。
校長室で元倉は「畑野が相談に来たときに、教師としての態度をとらなかった」と自省する。杉田校長は畑野の件が落ち着くまで、研究室の件は保留すべきではないかと元倉に進言、元倉も承諾する。
元倉は畑野の家に出向き、文子の父に万引きの件を説明、げきこうした父は文子を殴る。
元倉もますます、深刻に悩みだし、教師としての自身を失い始め、杉田に「私はダメな女」とこぼすが、杉田は「そう思わない人間がここにいます」と励ます。また杉田は河野に状況を説明、それを受け河野が元倉を激励する。 また河野は実際に自分の身分を隠して飲み屋にお静を尋ね、そのやさしい人柄を知る。
畑野は元倉に対する反抗的な態度を増長、授業中に編み物をするなどエスカレートしていった。しかし、杉田や河野の励ましを受け、授業中、衆人環視の中で涙を流しながら畑野に謝罪、畑野も「自分が悪かった」といい、二人は和解する。
その後、元倉は畑野に「会ったことも無い人に対しとやかく言うのはおかしい」と畑野をさとし、畑野はつり橋で静と初めて会い、静の人物を知って安心する。そして、父に静さんと結婚しても良いと告げる。父は嬉々とする。
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中野島駅より北東方向 |
しかし、事態は急変する。静は寄宿舎に預けている息子と再び生活するため、この町を出て行くことが決まってしまったのだ。
そして、文子とその父、河野、元倉、フクスケの女将は東山駅に静を見送りに行く。文子はその帰途「私もひとつ成長した気がする」と語る。そして、元倉は教師の喜びを体感し、教師を辞して大学の研究室に行く話しを正式に断る。
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中野島駅より南東方向 |
※ロケ地情報
① 野川水道橋・・・
万引きした文子をひきとった元倉と文子が歩いているシーン。
娘の文子に静との結婚を承諾してもらい、上機嫌で酒を配達しながら、サッカー部員を応援するシーン
② 飲み屋(フクスケ)・・・
特定できていない。
③ 畑野酒店・・・
第_話と同一の店か否か・・・
④ 日大明誠・・・
体育館の坂道の下(マネージャーを辞めると告げるシーン)
西校舎と東校舎の間の連絡通路(畑野が河野に泣きつくシーン)
⑤ 五本松?・・・
元倉が畑野に「静さんに会いにいきなさい」と諭すシーン
⑥ つり橋・・
特定できていない
⑦ JR中野島駅・・・
最後、文子とその父、河野、元倉、フクスケの女将は東山駅に静を見送りに行くシーン。
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中野島駅構内 |
中野島駅周辺 |
※マニアック情報
①最後のシーンで登場する電車は73系という旧型電車と思われる。チョコレート色の車体。方開きの扉。重々しいつりかけモータ音や大きなブレーキ音。マニアには嬉しいシーンだ。
第36話 太陽劣等改造論
喫茶店で柴田・山本・木次がだべっていると、可愛い金髪女性が店にはいってきた。
木次はなんとなく見たことのある顔だという。そして、自宅の倉庫の古新聞(昨年9月頃)の中から、ニューヨークからきたアンナ・ジョンソンという交換留学生が東高にきている記事を見つけ、店にはいってきたあのかわい子ちゃんこそ、このアンナジョンソンであることを知った。(高見エミリー=国会議員の奥様)
さて、太陽学園学生寮には突然、4チャンネルステレオ(懐かしい!)やバス(浴槽)トランクなどが運び込まれるが、誰が入寮するのか、河野もウメさんも寮生もわからない。
結局、それらは江川教頭の話からアンナ・ジョンソンのものであることがわかった。
なんと彼女は今般、太陽学園に留学することになったのだ。3-Dのとりわけ男性連中は大歓迎である。アンナはニックネームをアニといい父は広告代理店の営業担当重役、母が日本人ということだった。
一見、すんなりと生徒たちと溶け込めそうな様子で、河野も安心するが、元倉は「アンナは県立東高校を追い出されたといううわさがある」と河野に告げる。
さて、サッカー部室に、突然アニーがはいってきて、寮の部屋の中にバス(浴槽)を入れるのをてっつだって欲しいと願い出る。しかし、サッカー部は現在年末特訓のまっただなか。片桐たちは、アニーの風呂のことよりもサッカーのほうが大事だ。しかし、柴田・山本・木次はいそいそと練習をほっぽり出して、アニーの手伝いに行く。
そのためサッカー部員の間に微妙な対立関係が生じる。そして、統制を乱したかどで木次たちは100本シュートの「刑」を受ける。また、サッカー部の激しい練習を見たアニーはその「しごき」を毎朝新聞に投書する。そして新聞紙上にでかでかとサッカー部のしごきの記事が掲載され、江川も激怒する。
片桐たちサッカー部員はアニーのこの行動に対して、アニーに抗議するが、柴田たちによって止められ、対立はますます深くなっていった。
寮の風呂では男子寮生が裸で廊下を歩いているのを見て、アニーは驚愕、寮生は野蛮人だと言い張る。さて今までのところ森下たち女子生徒はアニーに好意的である。アニーの部屋でステレオのボリュームを最大限にし、女子寮生や木次たちがダンスを踊る。そのあまりにもの騒音に河野や片桐たちがやってきて、注意する。
AVルームが必要と感じたアニーは翌日、木次や女子生徒たちを誘って、職員室へ向かって「民主主義」を標榜してデモ行進する。(そのときうたっているのは「優等生でなくっても」という歌)
この行動で、ついに片桐たちと木次たちは小競り合いとなり、元倉に止められる。
もともと、江川の意図はアニーを学園の広告塔にすることだったが、ことここにいたり、
「とんだ跳ね返り娘が来たものだ」と、ほとほと困り果てる。
しかし、江川・塚本は逆にこれを利用して、サッカー部の分断と河野の追い出しを図る。そして、アニーを呼び出し、「オーディオルームは理事会に諮る。われわれは民主主義のなんたるかがわかった。然るに、河野先生は封建主義で横暴である。柴田・山本・木次がサッカー部から抜けたいと考えているのに河野が怖くてそれができない」などという
ことを彼女に吹聴する。そしてこの密談を元倉は聞き耳をすまして聞いていた(元倉先生はよくこういうことをする)
江川の話をまともに受け、河野のことを独裁者だと吹聴するアンナは女子寮生からも「あまり調子にのらないで」と反感を買い、どんどん孤立していく。またアンナは河野の部屋に入り、「ヒトラー、皇帝ネロ、ルイ14世」呼ばわりする。
アンナはさらに柴田・木次・山本をドライブに誘う。片桐は止めるが彼らはドライブにでかけてしまった。
部室では片桐が「統制がとれない。このままだと自分たちが退部する」と主張する。そのとき、事情を知っている元倉がはいってきて、「アニーを利用してサッカー部を解体しようとする教頭たちのわなだからそれに乗ってはダメ」と諭す。
河野も「3人は帰ってくる」といい、畑野に託して、柴田たちにサッカーボールを渡す。そしてアンナ・木次・柴田・山本はドライブへ出かける。
そして湖のほとりで、サッカーボールを湖に落としてしまう。3人は必死でそれを回収する。そしてその過程で、サッカーに対する思いがどんどん強くなり、柴田たちはアンナをおいて学校へ帰っていった。
3人はやはりグラウンドに帰ってきた。そして、片桐たちと和解する。それを遠くから見ていたアニーは退学を決意する。そして河野にそれを告げる。河野は自分が平和部隊にいたころの話をする。自分たちが便利だと思うものでも民族によっては不要だというケースもある。文明の違いを認めなければならない・・・というものだった。
アニーはその後、元倉先生に「自分がわがままだった」とわびる。そして最後は皆でクリスマスパーティー。ウメさんも料理を運んできて、皆でジングルベルの歌を歌う。
もっとも感動したのは、木次たちが改心して片桐たちの待つグラウンドへ戻ってくるシーン。BGMともあいまって、感動した。
※ロケ地情報
① 喫茶店・・・
いつも使われる喫茶店。特定できていない
②日大明誠・・・
西校舎南端(アンナジョンソンが3-Dの仲間に自己紹介するシーン)
正門前(アンナの車でドライブに出発するシーン
寮の下の坂道(アンナが車の中からサッカー部員たちの仲直りを見つめるシーン
③国士舘鶴川・・・
サッカー部の練習シーン
④ 湖・・・
特定できていないが城山湖近辺であろう
※マニアック情報
① 今週の委員・・・木次・柴田・山本
第37話 結局はただの人間なのか先生も
太陽学園にハンサムな新任教師、木本至(地位武雄)が赴任してきた。
一方、河野は寮の食堂でカレンダーをながめながら何か物憂げな表情である。木本は突然病気になった数学の山下先生の代わりに赴任してきた。
3-Dの教室ではその新任教諭に入り口上部にチョーク粉の入った箱を仕掛けるというイタズラで「歓迎」の準備をするが、それを察知した木本は窓から入ってくる。3-Dの連中は裏をかかれてしまった。
木本はサッカー部の練習にも臨時で参加する。そしてすごいシュートを決めるが、そのあとはドリブルの途中でこけてしまい、「もうろくしたよ」と自嘲する。(しかし、元倉はただひとり「わざとこけた」ことをこの時点で見破る。)
また教室では、ふざけていた片桐を殴るなど、毅然とした態度をもとり、段々と生徒の間で木本に対する評判は高まっていった。
サッカーの練習は木本にまかせ、河野は一人で灯台で泣いていた。そして、元倉明子がそんな河野に優しく声をかけた。
木本に対する生徒たちの評判があがるにつれ、江川・塚本は当初の狙い通りにことがすすんでいる、と小躍りして喜ぶ。
ある日、河野は教室で突然「親孝行をしろ」と言い出す。それを受け山本は家業の饅頭屋を手伝い、柴田は母親の肩たたき、片桐は親に手紙を出す・・・などの親孝行を各自、実行していった。
そんな話を聞き、木本は女子生徒たちに「PTA対策」であるかのごとく吹聴する。やがて、河野には生徒の親御たちからお歳暮がどんどん届くようになる。生徒たちは河野の失望していき、心も離れていく。
柳月亭という料亭では江川・塚本・木本が一席もっていた。木本はさまざまなデータから理想の教師は「若くて、おっちょこちょい、しかもなめられない強さをもっていること」と主張する。
その木本に対し、桜井は特に憧れの気持ちが強かったが、木本の何気ない言葉を将来自分と結婚してほしいということだと勝手に曲解してしまった。
それを聞きつけ、女子生徒たちは木本を詰問する。そろろろ木本の本性が露呈しつつあった。
あるとき、桜井が木本のアパート(共栄荘)を訪問すると、木本の恋人(菱見ユリ=ウルトラセブンのアンヌ隊員)がはいってきた。それを見て桜井は大きなショックを受け、どこかへ飛び出していった。しかも、桜井は家に帰っていないという連絡が自宅からはいった。
河野は自殺の心配がある、と探しに出る。
その後、桜井が寮に帰ってきた。聞けば、しゃくだから、隣町で映画を見て、トンカツ、オシルコ、ラーメンを食べて戻ってきたということであった。
居合わせた元倉は、生徒たちが河野がPTA対策をしているなどと批判しているのを聞き、彼らを河野の部屋に連れて行った。あれほどたくさんもらったはずのお歳暮はひとつもない。全部返却したらしい。元倉は河野が親孝行をしろといったのは、2年前の暮れの母親が亡くなったからだという。河野は好き勝手なことをしていたので孝行ができなかったというのだ。
それを知り、23:00ではあるが、皆で河野を探しにいった。河野は海岸の岩の上から落ちて、足をくじいていた。
河野は東山病院に一応入院した。
そして退院の日、3-Dの生徒たちは木本の授業を集団で、さぼり、退院する河野を迎えに行き、肩車に乗せて、学校へ戻ってきた。その様子を見て、木本は河野のパーフォーマンスに負けたと発言、それをきいて怒った元倉に合気道で投げ飛ばされた・・・。
※ロケ地情報
① 小田急向丘遊園駅・・・
冒頭、新任教諭の木本(地井武雄)が降り立つ駅
② 国士舘鶴川・・・
サッカーの練習。ラストシーン(河野が髪の毛を切られようとするシーン)
③ 爪木崎灯台・・・
河野が一人で泣くシーン
④ 東山病院・・・
特定できていない
⑤ 日大明誠・・・
3-Dの生徒たちが病院から学校まで河野を肩車で運ぶシーン
※マニアック情報
① 今週の委員・・・上田比呂志・大文字五郎・大○
第38話 気楽にいこうぜ俺たちだけは
高木(石橋)は生田みどりから「大学へ行こうと思う。高木君も大学へ進学しよう」と言われるが、今の学力では難しい。
そんなある日、日本鋼鉄などのサッカー部を築き上げ、現在は明正大学のスカウトをしている深尾(西沢)が太陽学園にやってきた。太陽学園サッカー部に実にいい選手がいるという噂を聞きつけてのことだった。明正大学に入学すると奨学金もある。高木をはじめ、全サッカー部員は本来は授業の時間ではあるが、学校の評判を上げることになるとの江川の判断で、深尾の前でサッカーの技術のチェックを受ける。そして、深尾は片桐を指名する。自分が片桐より劣っているとは思わない高木や、高木こそ1番と思っている柴田・山本は納得がいかない。
片桐は河野に相談するが河野は片桐の判断に任せると突き放す。ただ、河野はサッカーを進学などの手段に利用することには反意を持っている。
深尾の宿泊している旅館には高木が真相をさぐりにいくが、深尾に2級品呼ばわりされ、高木の怒りは益々つのっていった。
それからの高木はサッカー部の練習にも全く、身が入らない。深尾の暴言を知り、河野は旅館に抗議に行く。深尾はさらに高木のアパートまでわざわざ訪れ、片桐のことをほめる。高木の怒りは頂点に達し、深尾を殴るが、なぜか深尾はにやにやと笑っているのであった。3-Dの教室内でも片桐たち寮生組と高木こそ技術的に1番だと考える柴田・山本の通学組の間での対立が進行、高木と片桐も殴り合いにまで及んでしまう。
さて、深尾の宿泊している旅館に明正大学サッカー部の監督がやってくる。深尾は監督に「この地方に1人だけ優秀な選手がいる」と告げる。
そして、片桐は実際に監督のチェックを受けるため、市営グラウンドで行われる大学の合宿に参加する。しかし、監督の目にはそうたいした選手であるとは映らない。いぶかる監督に深尾は「あれ(片桐)は本命にやる気をおこさせるための単なるあて馬だ」と告げる。さらに深尾は応援に来ていた谷岡たち寮生組の部員たちに「キャプテンを(高木から)交代させるべきでは」と入れ知恵をする。それを受け、サッカー部はキャプテンを決めなおすための選挙をするが、結果として片桐派、高木派に別れ、練習もバラバラで行われるようになってしまった。
深尾は再びサッカー部の練習に訪れ、今度は高木に「どうやら私の目は節穴だったようだ。明日、大学の練習に来てくれ」と依頼、高木も承諾する。
この様子を見た河野は、深尾は最初から高木に目をつけており、高木に最高の状態で大学の監督の前で技を披露できるよう、わざと高木を怒らせるという作戦をとったことに気づく。
河野はその真相を部員たちに告げる。こんどは片桐が大きな心の傷を受ける。その夜、高木の部屋を片桐が訪れる。そして、高木に「お前なんかには負けない。俺は道具ではないということを知らせてやる」と挑戦状をたたきつけるような言い方をする。
そして、大学の監督の前でのテストの日の当日。高木も片桐もそれに参加するという。高木は皆から、「片桐が虚仮にされたことを知っていてそれでも行くのか」と批判されるが気にしていない様子だ。テストに向かう直前、河野は2人にサッカーボールを蹴らせたうえで「思いっきり蹴ったときの気持ちはスカっとするだろう。サッカーとはそういうもんだ。ただ、それだけのものだ」と告げる。
そしていよいよテストが開始する。しかし、高木はわざと、緩慢なプレーをして深尾に注意を受ける。また片桐も「お前はわざと、緩慢なプレーをしている。俺に気をつかって」と高木を詰問する。それに対して高木も片桐に「なぜ昨日の晩、俺のアパートにきた?お前は(自分のことを犠牲にしてでも)俺を発奮させるためにきた」と答え、片桐を一発殴る。ここで2人は和解する。
2人は深尾の前で高く高くボールを蹴り上げた上で「このスカっとした気持ち、あんたにはわからねえだろうな。サッカーとはそういうもんだ。ただ、それだけのもんだ」と言い残し、大学のグラウンドを去っていった。そして太陽学園に戻っていった・・・
感動したのは、最後、高木・片桐が深尾の前で高く高くボールを蹴り上げ「このスカっとした気持ち、あんたにはわからねえだろうな。サッカーとはそういうもんだ。ただ、それだけのもんだ」と言い残し、大学のグラウンドを去っていくとき、深尾も監督も納得したかのように微笑むシーンだ。とかくただ試合に勝つことだけにこだわっていると思われる2人だが、自分たちのやっていることの間違いを意識したのだろうか。
深尾・監督にも拍手!
※ロケ地情報
① 国士舘鶴川・・・
サッカー部の練習。深尾による技術のチェック。
② 日大明誠・・・
円形校舎前(車に乗ってスカウトの深尾がやってくるシーン)
③ 深尾が宿泊している旅館・・・
特定できていない
第39話 貴様と俺とは同期の桜
河原で練習中のサッカー部を堤防から興味深げに眺めている男が二人。
年配の方の男、永井(藤田進=ウルトラセブン地球防衛軍のヤマオカ長官)は「金の卵」「70万円」といった言葉を発する。また、若い方の男、沢田(寺田農)は河野の親友らしい。
その沢田、練習中のグラウンドに入り、河野と3年ぶりの再会をする。河野によると沢田は関西工業で得点王としてならし、ヨーロッパ遠征にも参加したが、右足の骨折で今は現役を退いているという。
さて、その沢田、喫茶店で永井からなにやら現金(10万円)を受け取っている。「70万円の約束だった」と、いぶかる沢田に永井は「残りの60万円は契約書にサインをもらってから」と断る。
一方、職員室。江川教頭・塚本は「サッカー部員は1人も就職が決まっていない」とつめよるが河野も内心は気にしていた。
秀才中尾は当然進学希望だが、父の事業が失敗し、経済的に苦しくなり、進学がおぼつかない。悩む中尾に河野は「今までどおり勉強していろ」と励ます。
寮の河野の部屋を沢田が訪れ、酒を酌み交わす。沢田は河野に内密の話として「こんど関西工業において新製品を製造する新工場を建設するプロジェクトが発足した。採用も昨年の倍になる。ただし、他社にプロジェクトの存在を知られてはいけないので、水面下で採用活動をしている」ということだった。
河野はサッカー部の部室で関西工業という工場名は伏せて、その話を部員たちにもちかける。片桐は「話がうますぎる」と懐疑的だが、河野は「他社にプロジェクトの存在を知られてはいけないので、水面下で採用活動をしている」という沢田の話を伝える。
その後、サッカー部に対して名を名乗らない人物から「国際試合」でも使われる新品のボールが届けられる。マネージャーが勝手に購入したものと考えた片桐たちは教室へ畑野を訪ねるが、片桐は化粧講習中の女子生徒たちに白い顔面パックの粉を塗りたくられる。畑野はボールのことは全くしらないという。さらに、寮の食堂に同じく誰からかはわからないが肉が届けられる。皆、なんとなく気味が悪い・・・。
関西工業への就職を希望する生徒、すなわち小西・中村・山本の他、進学をあきらめた中尾も河野に誓約書を提出する(誓約書には関西工業の名は記されていない)
河野はそれを喫茶店で沢田に手渡すが、その際、沢田から「部員にラーメンでも食わせてやってくれ」と1万円を渡される。その光景をたまたま居合わせた片桐と森下が目撃していた。(片桐は家の商売を継ごうか進学しようか迷っており、私立の女子大か共学の城南大学への進学かで迷っている森下に相談をもちかけたのだ)
沢田は誓約書をまとめて永井に渡し、残金の60万円を受け取る。
片桐は町でたまたま、「太陽学園サッカー部に送ってくれ」と果物を注文していた永井をみかけ、詰問する。永井によると彼は東京や横浜でレストランを経営している永井商会の社長だという。関西工業とはまったく関係がない。そして、誓約書をみせながら、「5人は私の会社に就職することになっている」と告げる。部員たちは驚く。
沢田による就職詐欺だったのだ!応接室で永井は江川や河野を前に「就職詐欺で警察に告訴する」と息まき、2日後の午後3:00までに沢田が返金しなかったら警察に訴えることを告げる。
このことで、河野も就職詐欺に加担したものと、生徒たちから、冷たい態度で接せられる。河野は信頼していた親友に裏切られたことと、結果として詐欺に加担したことで、窮地に立たされる。
河野は関西工業を尋ねるが、受付で沢田は1年前に退職したことを聞き、愕然とする。やはりだまされていたのだ。沢田のアパート(光和マンション)にかけつけるがそこはもぬけの殻。タダ、アパートの管理人から「ついさっき出て行った」と聞き、沢田を追いかける。そして、小田急某駅で沢田を見つけ、河野は沢田を追いかける。そして、ついに追いついた。何回か殴る。沢田は落ち着くために昼にもかかわらずウイスキーのボトルを口にする。沢田は河野に「ケガをしたあとは、あっちの工場、こっちの支店と邪魔者扱いを受けた」と告白する。
河野は一介の教師としては相当の苦労をして借り集めた70万円を沢田に渡し「これを永井さんに返せ」といって、その場を去っていった。
そして、約束の日。3時近くになっても沢田は現れない。もはやこれまでと、河野は寮の荷物を片付け、生徒たちの冷たい視線を浴びながら辞表を提出しに、応接室へ向かう。
そして、応接室で江川に辞表を提出した後、応接室を出て行った。
すると、そこには永井社長と沢田が立っていた。沢田は戻ってきたのだ。そして、沢田は永井の店で世話になることになったと告げる。永井も「持つべきものは友人」と人間がでかい。これで河野の潔白も証明された。
最後、永井は5人分の誓約書破ろうとした。そのとき、中尾が登場。永井の店で昼間働き、夜、大学に通うことが可能なことを知り「僕の誓約書は破らないでください。僕は永井さんの店でお世話になります」と告げ、永井も嬉々として快諾した。
感動したのはやはり沢田が戻ってきただけではなく、刑法犯を自分の店で使うと決めた永井社長の人物の大きさだ。
※ロケ地情報
① 堰(?)・・・
練習中のサッカー部の様子を堤防から永井社長と沢田が眺めているシーン
② 国士舘鶴川・・・
サッカー部の練習
③ 関西工業・・・
特定できていない。
④ 日大明誠・・・
寮の下~円形校舎まで(生徒たちの冷たい視線を浴びながら河野が辞表を提出しに、
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応接室へ向かうシーンルート |
※マニアック情報
①今週の委員・・・小村○
第40話 俺は谷岡だ
卒業を間近に控え、サッカー部員たちは自分たちの後進を確保すべく、2年生を対象にした新人募集活動を行う。何人かで特定の2年生を追いかけたり、中学の時に陸上をやっていた山下を3-D女性とたちの色仕掛けで勧誘したり(山下はこの後、鼻血を出す)
100円玉の裏表によるバクチ・・・
その甲斐あってか、何人かの2年生が集まる。その中にはあの田村(35点は落第点)もはいっている。田村はゴールキーパーをやってみるが、レギュラーの谷岡より、うまくボールが処理できる。2年の女生徒たちは河野に田村をレギュラーにするよう、願い出るが河野は拒否する。 谷岡もまたあせりだした。
寮の片桐の部屋では3-Dのメンバーが集合し、なんとか大人しい、怒ったところを見たことのない谷岡のファイトをたきつけようと色々思案した。その結果、山本の発案でなんでもいいから谷岡を怒らせることになった。そして、教室内でわざと谷岡の足を踏んだり、部室で谷岡にボールをぶつけたり、谷岡が座ろうとしたイスをわざと引っ張ったり・・・しかし、谷岡は怒らない。
グラウンドではゴールの谷岡に、皆、暴言を浴びせる。「ヘタクソ。見ちゃあいられない。へっぴり腰。ウドの大木といわれても仕方がない」。
そしてついに谷岡が激怒した。「おい、てめえら。俺に恨みでもあるのか!?」
「その調子その調子」という部員たちに「なにがその調子だ!」と谷岡の怒りは収まらない。ついに部員たちを殴り始めた、止めにはいった河野にも「どいてろ。先公!」。
谷岡は絶叫する。「谷岡と言えば少年院でも少しは恐れられていた。いつまでもなめられるようなお人よしじゃあねえ」河野をも殴り最後に「俺は谷岡だ。文句があるならかかって来い!ぶっ放しやる!」と叫ぶ。
谷岡は手のつけられない不良でどこにも引き取り手がなかったのを杉田校長が引き受けたのだった。
3-Dの生徒たちは谷岡に対する恐怖が募り、慇懃無礼な態度をとるようになってしまった。
また、谷岡の暴行の様子を見ていた2年生たちもサッカー部をやめたいと思うようになってしまった。谷岡は「ボロがでてしまった」と河野に心情を吐露する。河野は「気にするな」というが谷岡は「俺が気にしなくても皆が気にしているじゃあないか」。
河野は3-Dのメンバーにもう一度谷岡に絡むように、指示するが、皆は当然拒否する。唯一、片桐だけが谷岡に砂利取り場での決闘を申し入れた。河野は「ケンカして仲良くなることもある」と気に留めない。
そして、放課後の砂利取り場。片桐は谷岡を殴り続けるが谷岡は全く反撃しない。最後には片桐は泣きながら谷岡に「殴ってくれよ!」と絶叫してしまう。 結局2年生たちは「黙っている谷岡さんはかえって不気味だ」と退部してしまう。
谷岡はそれを知り、さらに荒れてしまう。そして、おでん屋にはいる(高校生なのに)そこに河野もはいってきた。河野は谷岡に「片桐は谷岡を仲間はずれにしたくなかったのだ。一度ぐれたからといってそれがなんだ」と諭し、「今夜はお前にそれがわかるまでとことん飲む」といい、結果、泥酔し、谷岡に背負ってもらって寮に帰る。
そういう河野を見て、谷岡も改心する。そして、2年生の全クラスの掃除を始める。冬で水も冷たい中、また、2年生の冷たい視線を感じながらも谷岡は必死で掃除を続ける。3-Dのメンバーが「手伝う」と申し出ると、例を言った上で「俺一人にやらせてくれ」と断る。そしてついにその熱意に打たれた2年生たちはサッカー部に戻ってきたのだった!
「飛び出せ青春」ではほぼ毎回、河野以外に「準主人公的な役柄」をになうものがいる。高木・片桐・木次・柴田・山本・中尾・生田・森下・桜井・畑野・・・それぞれが「準主人公」になったエピソードが多々ある。そして小西も「ああじゃんパイに・・・」で注目を浴びた。本エピソードでは谷岡が「準」どころか「主人公」だし、次回の「星の皇女様になりたい」でも大島(小椋)が主人公になっている。レギュラーでこういった役柄がなかったのは中村清(五十殿)だけだが、中村も各編で活躍している。
このように、サブ的配役にもスポットをあてたエピソードを用意する、その考え方がすばらしい。谷岡ファンは女性を中心にかなり多いそうだ。谷岡は「バトル___」などでも活躍し、現在はホテル事業をされているということを聞いたことがあるが、今、どうされているのだろう。
※ロケ地情報
① 日大明誠・・・
円形校舎前(冒頭、サッカー部員たちが2年生を驚かせるシーン)
池(谷岡が河野にボロがでてしまったと後悔の心情を吐露するシーン)
西校舎南端(谷岡が掃除をする)
② 砂利取り場
件のブログでは上野原駅西方か。第20章ご参照。
③ 国士舘鶴川・・・
サッカー部の練習。2年生への指導。
④ 谷岡が河野を負ぶって寮に帰る路地・・・
特定できていないが、河野の頭の上に少しだけ垣間見ることのできる看板の429-XXXXという番号から
世田谷区内かもしれない
※マニアック情報
① 歌謡曲
赤色エレジー・・・泥酔した河野が谷岡に背負わながら歌う。
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